あえて苦言 TEXT:ゆき姫(2000/5/29)

 今、第3シリーズが放映されている。毎日新しい「おじゃる丸」のエピソードに触れられるのは、ファンとしてはこの上ない喜びだ。しかし…一話一話のクオリティが下がってきているような気がどうしてもしてしまう時がある。長いシリーズになれば、出来ばえにバラツキが出てくるのは当然なことだと思うし、見る側個人の好みもあるからこんなことを本当は言いたくはなかったが、ここはあえて言わせていただく。

 「おじゃる丸」はNHKの子供アニメ枠としては破格の“冒険”に富んだ作品であると思う。登場人物の設定やオチのつけかた、画面の構図など、今までの常識をくつがえす新しいことを見せてきてくれた。それがまた「おじゃる丸」の最大の魅力でもあったのだが、今回のシリーズではその“冒険”が成功していない例が多いように感じられる。以下に挙げる点は私個人の好みによるものなので、多くの方に異論のあることを承知で挙げさせていただく。

(1)おじゃる対文明の利器ネタはもういいかげんにしたほうが…
(2)新登場のキャラクターの魅力がイマイチ
(3)スクープさんはひどすぎる
(4)マリーさんネタに矛盾点が多すぎ

 まず(1)について。ヘイアンチョウからやって来たばかりの頃ならまだしも、ここまで来てラジオや自転車と格闘するおじゃるを見せるのはちょっと…。おじゃるはすでにテレビを知っているし、「進め ラクチン車」に登場した自転車乗りのおじさんも以前から月光町を自転車で走っていた。今さら知らねぇとは言わせねえぜ!ってとこ。

 (2)に該当するキャラクターは陶芸家の多山、「おじゃまろくん」の前田、スクープさんである。今までに登場した脇役以外のキャラクターはすべて、はじめはぱっとしなくても繰り返し登場するうちにその魅力がじんわりと分かってくる(好き嫌いもあるだろうが)ような設定になっていたが、第3シリーズに関してはその法則があてはまらないようだ。キャラクターに引力がなさすぎる。好きになる努力はしてみたんだけど…。

 特に(3)にも挙げたスクープさんはひどすぎる。彼個人に何も魅力がないばかりか、なぜ彼のようなキャラクターが登場する必要があったのかがわからない。月光町はいまや全国のおじゃるファンの心の桃源郷である。ツッキーや双子犬や電ボが当たり前のように存在するからこそ、月光町なのである。その町の平穏を邪魔するスクープさんはすなわち、すべてのおじゃるファンの心の平穏を乱す存在である。「スクープ対ツッキー」のストーリーとオチは想像のつくものだった。これを見て楽しめた人はほとんどいなかったろうと勝手に推測する。善意のおじゃるファンはたまにはこんな日もあるさ、と軽く流したろう。しかしまた次の日、それが続くとなるとキツすぎる!朝っぱらから(とは限らないけど)ココロの平安を乱されたがる者がどこにおろうか。しかもあの可愛げのカケラもないあのスクープさんなんかに。顔も存在もなにもかも、あまりに魅力がなさすぎる。彼の登場はおじゃるスタッフにとっての“冒険”だったかもしれない。未だかつて外界の悪意にさらされたことのない月光町をあえて危険にさらしてみるという“冒険”。しかし、これを喜んだファンはいたのだろうか?何かプラスはあったのだろうか?それともこれもコウルサイことを言い出すファンがいることを承知の上の裏切り(もしくはくすぐり)という名の“冒険”なのか?!だとしたら私こそ見事に手のひらの上で踊らされてる猿ってわけね。

 おじゃるの「ジジババネタ」は味わい深くて素晴らしい。ゆえに「マリーさんネタ」も大歓迎なのだが、第3シリーズにおける「マリーネタ」連発はちょっといただけなかった。つじつまさえ合っていれば、大変結構なことだったと思うが…。まず「マリー うそをつく」の中でトミーとサリー、マリーの出会った時期が第1シリーズの「マリーやしきのたからもの」と比べるとおかしいのではないか…と一部のおじゃるファンの間でも話題になった。ファンはこんな時もなんとかコジ付け、つじつまを合わせ、好意的に見ようと努力する。この時はなんとかなったが、「マリーとヨシコ」の中のトミーのボタンのエピソードはこじつけようがない。「マリーやしきのたからもの」の中でマリーさんの宝箱にはトミーからもらった金ボタンが入っていたのだから…(第2ボタンとは断定できないところが唯一の逃げ道といえばそう)。ついでだが、「マリーとヨシコ」での女学生時代のタナカヨシコと第2シリーズ「待ちつづけた ヨシコ」での若き日のタナカヨシコが違いすぎるのも…ちとこじつけできかねる。あの驚異のモテモテ女・ヨシコの像はやはり彼女のつくり話だったのか…?でも、フライシアは実在だし…。ともかく!ファンに無用の苦しいつじつまあわせをさせないためにも、エピソードの矛盾は無くしてもらいたい。

 以上、毎日10分の幸せな時間を大切に思っているいちファンの苦言。好きだから…言うのよ。



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