おじゃる丸とわたし TEXT:ほーじぃ(1999/6/13)

■心のともし火・おじゃる丸
私がおじゃる丸を見始めたのは1クール目の途中からです。
その頃の私は、ぷー太郎生活の真っ最中、暇な毎日にもそろそろ飽きてました。いや、飽きるというよりは、「ぶらぶらしていてもいいのだろうか、そろそろ有意義なことをしなくてはいけないのじゃないか」という罪悪感のようなものを感じだしていたのですね。ちょっと昼寝をすると、いつも誰かにたたき起こされる夢ばかりを見てうなされていた、そんな悶々とした日々でした。
そんな折、同じぷー仲間のゆき姫から強力な推薦を受けて、夕飯の米など研ぎながら、何気なくテレビをつけて初めておじゃる丸を見たのです。貧ちゃん神さん初登場の回で、狛犬の兄弟も揃って、ラブリーの嵐。中身の濃さに、あたくし感動しましたことよ。
最初は私も、単にキャラクターのかわいらしさに引き付けられていたのだと思うのです。しかし、だんだん「おじゃる」の「良さ」というものがじわじわと心に染みてきました。
のんびりまったり、いつもマイペース。風雅を解し、あくまで根の明るいおじゃるの生活態度。
そう「自由人」への憧れの心を刺激されるとでもいいましょうか。
ああ、職はなくてもこのように生きたいものだとしみじみと思いました。
これぞ、私たちが目指す江戸人の心意気(……ちょっと違いますね)。ぷーの真髄ではありませんか。
(反面、子鬼のトリオは宮仕えの悲しさっていうか、ちょっとかわいそうなんですけどね。でも無邪気な分、現実の働く大人よりもけなげでいいですね。)

■二人のいい男
さて、おじゃるのキャラクターにはそれぞれに固定ファンがついています。
私は、おじゃるはもちろん、子鬼トリオも狛犬も大好き(小町ちゃんだけがどうも好きになれない)ですが、今回、いち押しするのは「トミー爺とカズマ」です。
ポイントは、「心の広さ」と「少年度」。
例えば、トミー爺は私がなりたいお年寄りのひとつのモデルです。
私が特に忘れられないのは、白鳥の気持ちがつかめなくて悩んでいるバレリーナの乙女先生に、羽を貸してあげるシーン。彼はこういうのです。
「昔、私が空を飛ぼうと思って、つくったものです」
……す、素晴らしい。夢見る少年時代を、恥じることも照れることもなくさらりと話せるトミーさん。こういう人だから一見まともなのに、実は素っ頓狂な乙女先生にも真面目に向き合えるのでしょう。
常に自分のやりたいことに熱中し、そういう何物にも左右されない自分があるから、他人にも異様なほど寛容な人なのですね。
そしてあの、ハイカラなご趣味。ジャズプレーヤーであったり、また会話に自然に英語が混じってくる様子が、まるで嫌味を感じさせません。
突然ですが、トミー爺さんを見ていると、ほんのちょっと私の亡き祖父を思い出します。
彼は横浜の本牧育ちの西洋家具職人だったのですが、頑固な職人のくせに、意外にバタ臭いところのある人でした。野球という和製語を使わずに、常に「ベースボール」と言ったりして。それも横浜という土地柄が大きく影響していると思います。
そう思うにつれ、トミーやジャズ仲間のコーヒー店マスター、マイクなどを育んだ月光町というのは、なんてモダンな町なのだろう、とうらやましく思うのでした。
さて、その月光町で生まれ育った(と思われる)トミーさんの孫、カズマ。
彼は、物言わぬ小石に無限のロマンを感じているロマンチスト。そういう夢を見る力の大きいところはトミーさん似ですね。小石マニアなんて、一見根の暗そうな趣味だけど、彼にはそういう暗さがない。この明るさもトミーさん似ですね。そして、年若くしておじゃるのようなわがまま者に付き合ってやれるこの寛大さ。おじゃるの面倒を本当によく見てるし、おじゃるのほうが本当の孫みたいにしょっちゅうトミー爺さんとつるんでいても、カズマは全然妬かずにいたってなごやかです。カズマ、えらい!しかも「スポーツ万能」という特典つきであるという、うらやましい少年ぶり。私はカズマが大好きです。成長が楽しみな日本の若人です。(別にショタコンではありません)。
スポーツ万能という点はともかく、トミー爺さんとカズマはさすがに血のつながり、よく似ていると私は思うのですが、一見あの二人は似ていないように見えませんか?
トミー爺さんにある、あのハイカラな雰囲気がカズマにはないからではないでしょうか。
カズマにつきまとっているのは、20年ローン(だったかな?)の2(3?)LDKマンションに住む一介の画一化した小市民のにおい。いまひとつ、トミーさんのおしゃれな雰囲気に迫れていません。そのあたりが、小町ちゃんにあまり評価されていない部分なんでしょうね。
今後、カズマが素敵な大人に育つには、何が必要なのか、または何が余計なのか。
このあたりが今後の私の検討課題になりそうです。
願わくば、カズマとトミー爺さんのそばに、おじゃるがずっといてやってくれるといいのですが。
あれ、逆かな?



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